野球中継で「ホールド」という記録を目にしたことはありませんか。ホールドとは、プロ野球で中継ぎ投手がチームのリードを守るなど、一定の条件を満たしたときに与えられる記録です。試合を締めくくる抑え投手の「セーブ」とは異なり、終盤の重要な場面で登板し、次の投手へつなぐ役割を評価します。
2026年現在、日本プロ野球(NPB)ではホールドが中継ぎ投手の貢献を測る主要な指標となっています。ただし、リードしていれば必ず記録されるわけではなく、登板時の点差、投球回数、アウト数、走者の状況などによって成立するかどうかが決まります。ホールドポイント(HP)との違いや歴代記録まで押さえると、継投の意図や試合終盤の攻防も、より深く理解できます。
>📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
>
> - ホールドとは: 一定の条件を満たした救援投手に記録される、中継ぎの貢献を評価する指標。
> - 成立条件: リード時と同点時で基準が異なり、点差や投球回数、アウト数、走者の状況が関係する。
> - セーブとの違い: セーブは勝利試合を締めくくる投手の記録、ホールドは主に次の投手へつなぐ投手の記録。
> - ホールドポイント(HP): ホールド数と救援勝利数を合計した数値で、NPBの最優秀中継ぎ投手賞の選考基準となる。
> - 歴代記録: NPB公式の通算ホールド記録では、2026年度シーズン終了時点で宮西尚生投手が424ホールドでトップ。
【基本知識】ホールドとは?中継ぎ投手の貢献を評価する記録
ホールド(Hold)は、試合途中から登板する救援投手が、チームのリードを保つなど所定の条件を満たした場合に与えられる記録です。日本では「H」と略されることがあり、英語表記の「HLD」も使われます。
野球では、先発投手が試合の序盤から中盤を担当し、中継ぎ投手が試合の流れを維持し、抑え投手が最終盤を締めくくるという分業体制が一般的です。
中継ぎ投手は、勝利投手にもセーブ投手にもならないことが多くあります。しかし、1点差のリードを守り、強力な打線を抑え、抑え投手へバトンを渡す働きは、チームの勝利に直結します。
ホールドは、こうした貢献を数字で評価するために生まれました。1986年に米国で考案され、日本プロ野球では1990年代以降に制度が整備されています。
ホールドが記録されるのはどんな場面?
例えば、チームが4対3でリードしている7回に中継ぎ投手が登板し、相手打線を抑えてリードを保ったまま降板したとします。その後、別の投手が8回を抑え、抑え投手が9回を締めくくれば、最初の中継ぎ投手にはホールドが記録される可能性があります。
一方、単にリードしている場面で登板しただけでは不十分です。NPBの規定では、登板時の点差や投球回数などの条件を満たす必要があります。
また、ホールドは1試合につき1人だけの記録ではありません。複数の救援投手がそれぞれ条件を満たせば、同じ試合で複数人にホールドが付くことがあります。
ここが、試合を最後まで投げ切る必要があるセーブとの大きな違いです。
【成立条件】ホールドの点差ルールとアウト数を詳しく解説
ホールドの判定では、登板したときの状況と、降板するまでの投球内容が重要です。日本野球機構(NPB)の2005年2月3日付「記録に関する変更のお知らせ」では、ホールドの対象となる救援投手と基本条件が示されています。
まず満たすべき共通条件
NPBのホールドは、原則として次の条件を満たした救援投手が対象です。
- 先発投手ではない。
- 勝利投手、敗戦投手、セーブ投手、引き分けの記録を得ていない。
- 1アウト以上を取っている。
- 自身の責任となる失点によって、降板後にチームが同点に追いつかれたり、逆転されたりしていない。
- 下記のリード時または同点時の条件を満たしている。
特に注意したいのが、走者を残して降板したケースです。後続投手がその走者を生還させ、同点または逆転を許した場合、前任投手にホールドは記録されません。
投手交代の際には、残した走者の責任が前任投手に残ることがあるためです。
リードしている場合の条件
味方がリードしている状況では、主に次のいずれかを満たす必要があります。
1.3点以内のリードで登板し、1イニング以上を投げる
例えば、5対3の2点リードで登板し、1イニング以上を投げてリードを保ったまま降板すれば、ホールドの対象になり得ます。
2.同点や逆転につながる走者が関係するセーブ機会で登板する
点差が3点以内かどうかだけでなく、走者の位置や打者の状況によって、相手が同点・逆転に持ち込める場面かどうかが判断材料になります。この条件では、1イニング以上の投球が必須とは限りません。
3.点差にかかわらず、3イニング以上を投げる
4点以上のリードで登板した場合でも、3イニング以上を投げるなど、規定の条件を満たせばホールドの対象になり得ます。
つまり、ホールドの点差ルールは「3点差以内で登板すればよい」という単純なものではありません。投球回数や登板時の状況も合わせて確認する必要があります。
同点で登板した場合の条件
同点の場面から登板した投手にも、ホールドが記録される場合があります。
基本となるのは、1アウト以上を取り、登板してから降板するまで、前任投手が残した走者を含めて失点を許さず、同点を維持することです。
また、登板中に味方が勝ち越した場合には、失点があってもリードを保ったまま降板すれば、条件を満たすことがあります。
同点時のホールドは、単に無失点だったかどうかだけでなく、登板後の試合展開と降板時のスコアまで確認することが大切です。
ホールドが付かない代表的なケース
- リードして登板したものの、必要な投球回数などの条件を満たさなかった。
- 1アウトも取れずに降板した。
- 自身が敗戦投手となった。
- 残した走者が後続投手によって生還し、同点または逆転を許した。
- すでに勝利投手やセーブ投手などの記録が付いている。
ホールドは、登板した中継ぎ投手全員に自動的に付く記録ではありません。公式の条件を満たしたかどうかが判定の基準になります。
【徹底比較】ホールドとセーブの違いは?役割・条件・記録を整理
ホールドとセーブは、どちらも救援投手の働きを評価する記録ですが、評価する役割が異なります。
セーブは、勝利した試合の最後を投げ切り、規定の条件を満たした投手に与えられます。ホールドは、試合の途中で登板し、次の投手へつなぐ働きを評価する記録です。
ホールドとセーブの比較
| 比較項目 | ホールド | セーブ |
|---|---|---|
| 主な役割 | 中継ぎ投手 | 抑え投手 |
| 試合を最後まで投げ切る必要 | ない | ある |
| チームの最終勝利 | 必須ではない | 必須 |
| 登板時の条件 | リード時または同点時など、規定の条件を満たす | 勝利試合のセーブ条件を満たす |
| 1試合で複数人に記録 | 可能 | 原則1人 |
| 主な評価対象 | リードを保つなど、次の投手につなぐ働き | リードを守って試合を締めくくる働き |
セーブは3点差以内で登板すれば必ず付く?
必ずしもそうではありません。
日本野球機構の記録員コラムでも解説されているように、セーブには複数の条件があります。代表例は3点以内のリードで登板し、最低1イニングを投げるケースですが、走者の状況などによっては、より大きなリードでもセーブの条件を満たすことがあります。
また、チームが勝利していても、勝利投手になった投手にはセーブは記録されません。
ホールドも同様に、スコアボードの点差だけで判定することはできません。登板時の状況、アウト数、投球回数、投手に付く個人記録を合わせて確認する必要があります。
【HPの仕組み】ホールドポイントとは?最優秀中継ぎ投手の決め方
ホールドと混同されやすいのが、ホールドポイント(Hold Points、HP)です。
NPBでは2005年から、ホールドに救援勝利数を加えた数値をホールドポイントとして扱っています。
ホールドポイント(HP)=ホールド数+救援勝利数
ホールドが中継ぎ投手の貢献を測る記録であるのに対し、ホールドポイントはホールドと救援勝利を合算した評価指標です。
例えば、ある投手がシーズン中に30ホールド、5救援勝利を記録した場合、ホールドポイントは35になります。
ホールドが30でも、救援勝利が10あればHPは40です。ホールド数だけでは順位が上でも、救援勝利を加えたホールドポイントでは別の投手が上回ることがあります。
最優秀中継ぎ投手賞は何で決まる?
NPBの最優秀中継ぎ投手賞は、シーズンのホールドポイントを基準に選ばれます。ホールド数だけで決まるわけではありません。
2026年度のNPB公式表彰では、セ・リーグは田中瑛斗投手が45ホールドポイント、パ・リーグは鈴木昭汰投手が39ホールドポイントで、それぞれ最優秀中継ぎ投手賞を獲得しています。
この仕組みは、中継ぎ投手の評価をホールドだけに限定せず、同点やビハインドの場面から登板してチームに勝利をもたらした救援投手の働きも評価するためのものです。
ホールドとホールドポイントの違いを一言で整理
- ホールド: 条件を満たした救援登板に記録される数値。
- ホールドポイント: ホールド数に救援勝利数を加えた合計。
- 最優秀中継ぎ投手賞: シーズンのホールドポイントを基準に選ばれるタイトル。
選手の個人成績を比較するときは、ホールド数とHPを混同しないようにしましょう。
【導入の歴史】1986年の考案からNPBの2005年統一ルールまで
ホールドの歴史は、救援投手の分業化と密接に関係しています。
先発投手が長いイニングを投げ、最後に登板する抑え投手がセーブを記録する一方、その間をつなぐ中継ぎ投手は、勝利やセーブの数字だけでは貢献を評価しにくいという課題がありました。
ホールドは、その課題を補うために考案された記録です。
ホールドの主な歴史
| 年 | 出来事 | 意義 |
|---|---|---|
| 1986年 | 米国でホールドが考案される | 抑え以外の救援投手を評価する仕組みが生まれる |
| 1996年 | パ・リーグがホールドを採用 | 日本プロ野球でも中継ぎの記録が整備される |
| 1996~2004年 | セ・リーグはリリーフポイントを採用 | セ・パで中継ぎ投手の評価方法が異なる時期が続く |
| 2005年 | セ・パで新しいホールド規定を統一 | ホールドポイントを最優秀中継ぎ投手賞の基準に採用 |
| 2014年 | 山口鉄也投手が通算200ホールドを達成 | 中継ぎ投手の通算実績を示す節目となる |
| 2026年 | 宮西尚生投手が通算ホールド歴代トップ | 継続的な救援登板の実績が記録に反映される |
日本野球機構が2005年2月3日に公表した「記録に関する変更のお知らせ」には、新しいホールドの定義と、ホールドポイントによる最優秀中継ぎ投手賞の仕組みが記載されています。
それ以前は、パ・リーグのホールドとセ・リーグのリリーフポイントという異なる指標が使われていました。そのため、2005年以降の統一ルールによる記録と、それ以前の数字を単純に同じ基準で比較することはできません。
この点は、歴代記録を調べる際に見落としやすいポイントです。
【歴代記録】最多ホールドは誰?山口鉄也と宮西尚生の実績
ホールドの歴代記録を確認する際には、通算ホールド数とシーズン最多ホールド数を分けて見る必要があります。
通算ホールドの歴代上位
NPB公式の「歴代最高記録・ホールド通算記録」によると、2026年度シーズン終了時点の上位選手は次のとおりです。
| 順位 | 投手 | 通算ホールド |
|---|---|---|
| 1位 | 宮西尚生 | 424 |
| 2位 | 山口鉄也 | 273 |
| 3位 | 浅尾拓也 | 200 |
※NPB公式の2026年度シーズン終了時点の記録に基づきます。
宮西尚生は通算ホールド歴代トップ
宮西尚生投手は、北海道日本ハムファイターズで長年にわたり救援投手として活躍してきました。NPB公式記録では、2026年度シーズン終了時点で通算424ホールドを記録し、歴代トップに立っています。
ホールドは、単年の成績だけでなく、長い期間にわたって救援登板を重ね、チームの勝利に貢献してきた実績を示す数字でもあります。
山口鉄也が初の200ホールドを達成
読売ジャイアンツで活躍した山口鉄也投手は、2014年6月6日の西武戦で通算200ホールドを達成しました。日本プロ野球史上初の達成者として知られています。
山口投手の通算ホールド数は273。NPBは2018年の表彰においても、史上初の200ホールド達成を功績の一つとして挙げています。
200ホールドという節目は、中継ぎ投手の長期的な貢献を示す記録として定着しました。ただし、名球会の投手入会条件として一般に知られる200勝や250セーブとは異なり、ホールド数そのものは入会条件に含まれていません。
シーズン最多ホールドは50
通算記録とは別に、1シーズンで最も多くのホールドを記録した投手にも注目したいところです。
NPB公式のシーズン記録では、清水昇投手が2021年に記録した50ホールドが歴代トップです。シーズン最多ホールドは、短期間に多くの登板機会を得るだけでなく、登板ごとに規定の条件を満たし続ける必要がある記録です。
ホールドの数字を評価する際は、通算数だけでなく、登板数、投球回数、防御率、ホールドポイントなどを組み合わせると、選手の働きをより多角的に把握できます。
【日米比較】日本プロ野球とメジャーリーグのホールドは何が違う?
ホールドは米国で考案された指標ですが、日本とメジャーリーグ(MLB)では制度上の位置付けが異なります。
NPBではホールドが公式記録として扱われ、ホールドポイントを基準とする最優秀中継ぎ投手賞も設けられています。一方、MLBでもMLB.comの用語解説などでホールドの定義が紹介され、報道やデータサイトで広く利用されていますが、NPBと同じ形の公式タイトル制度があるわけではありません。
大きな違いは同点での登板と評価制度
NPBでは、同点の場面から登板した救援投手にも、所定の条件を満たせばホールドが記録されます。
一方、MLBの一般的なホールドの定義では、セーブ機会に相当する状況で登板し、アウトを取り、リードを保ったまま次の投手へつなぐことが基本となります。同点からの登板をNPBと同じ形でホールドとして扱うわけではありません。
また、MLB.comの用語解説では、投手がリードを保って降板した後、残した走者が生還して逆転されるなどの展開によって、ホールドと敗戦投手の記録が同じ試合で付く場合も説明されています。NPBでは、後続投手が残された走者を生還させ、同点または逆転を許した場合、ホールドが付かないという規定があります。
このように、同じ「ホールド」という言葉でも、記録の付与条件や評価制度には違いがあります。日米の投手成績を比較するときは、数字だけを並べず、各リーグの記録ルールを確認することが欠かせません。
【ホールドとは】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:ホールドは何点差まで記録されますか?
A1:3点以内のリードで登板して1イニング以上を投げるケースが代表例ですが、それだけではありません。登板時の走者の状況や、点差にかかわらず3イニング以上を投げる条件などもあります。
Q2:チームが負けてもホールドは付きますか?
A2:付きます。ホールドの条件を満たして降板した後、チームが逆転負けをしても、本人が敗戦投手にならず、残した走者によって同点・逆転を許すなどの不成立条件に該当しなければ、ホールドは記録されます。
Q3:1試合で複数の投手にホールドが付くことはありますか?
A3:あります。複数の中継ぎ投手がそれぞれ規定の条件を満たせば、同じ試合で複数人にホールドが記録されます。
Q4:ホールドポイントとホールドは同じですか?
A4:違います。ホールドポイントは「ホールド数+救援勝利数」で計算される数値です。最優秀中継ぎ投手賞は、ホールド単独の数ではなく、ホールドポイントを基準に決まります。
Q5:メジャーリーグにもホールドはありますか?
A5:はい。MLBでもホールドは広く使われています。ただし、日本のようにホールドポイントを基準とした最優秀中継ぎ投手賞があるわけではなく、付与条件にも違いがあります。
まとめ:ホールドを理解すれば中継ぎ投手の価値が見えてくる
ホールドとは、救援投手が試合の重要な局面で果たした役割を評価する記録です。セーブが試合を締めくくる投手の働きを評価するのに対し、ホールドは主に中継ぎ投手が次の投手へつなぐ働きを評価します。
NPBでは、登板時の点差、投球回数、アウト数、走者の状況など、複数の条件を満たす必要があります。また、ホールド数と救援勝利数を合計したホールドポイントが、最優秀中継ぎ投手賞の選考基準になっています。
歴史を振り返ると、1986年に米国で考案されたホールドは、1996年のパ・リーグ採用を経て、2005年にセ・パ共通のルールへと整備されました。山口鉄也投手の通算200ホールド達成や、宮西尚生投手による歴代記録の更新は、中継ぎ投手の価値を示す象徴的な実績です。
試合を見る際には、ホールド数だけで投手の優劣を決めるのではなく、登板時の状況、防御率、投球回数、救援勝利、ホールドポイントも合わせて確認してみてください。数字の背景にある継投の意図が分かれば、試合終盤の攻防をさらに深く楽しめます。 (出典: ホールド と は(Yahoo!ニュース))